
毘沙門さまと出水の七不思議
「出水の毘沙門さま」の通称で親しまれ、古くから宗教宗派問わず、開運勝利・財運招福の御利益で広く信仰を集めてきました。本堂前の鳥居や狛犬は幕末に祈願成就の御礼として寄進されたと言われています。毘沙門さまとそのお使い、出水通沿いに並ぶ寺院に伝わる「出水の七不思議」についてご紹介します。
毘沙門天とは
毘沙門さまは、仏教を守護する四天王の一神として北方を守護する善神とされ、特に法華経(日蓮宗が信仰する経典)の陀羅尼品(だらにほん)において法華経受持の者を擁護することを誓われた大善神とされています。日本では七福神の一神としてお祀りされることも多く、恵比寿さま・大黒さまと並んで広く信仰を集め、開運・財運・勝負運などたくさんのご利益で知られています。



出水の毘沙門さま
当山の毘沙門天像は、豊臣秀吉公が伏見城で奉祀していた像を寄進したものと伝えられています。当山第22世不側院日神上人の縁起記には、「ある夜、毘沙門さまが秀吉公の夢枕に立ち法華経信仰の道場を求められた為、秀吉公自ら当山に立ち寄り毘沙門さまの像を寄進された」と記載されています。鞍馬寺の毘沙門天像と同木同作と伝えられ、平安後期の作と伝わる。高さ160cmの木像で、甲冑(かっちゅう)をまとい、右手に三叉戟(さんさげき)を持ち、左手を腰にあて、夜叉鬼を踏んでいます。
当山は「出水の毘沙門さま」の通称で親しまれ、古くから宗教宗派問わず、開運勝利・財運招福の御利益で広く信仰を集めてきました。本堂前の鳥居や狛犬は幕末に祈願成就の御礼として寄進されたと言われています。
通常非公開。
ムカデ
ムカデは、毘沙門さまのお使いとして知られています。ムカデは後ろに下がることができず、前進しかできないことから「後退しない、勝負に勝つ」とされ、また、足が多いことから「客足が絶えない、財を呼びこむ」とされ、特に勝利・財運の象徴とされています。当山でも、そのご利益にあずかりたいと、古くから幕や提灯などいたるところにムカデ紋が配されています。


寅
毘沙門さまが「寅の年、寅の日、寅の刻」に出現されたという由来から、寅もまた毘沙門さまのお使いとして知られています。当山の授与品の中にも、寅をあしらったものが多くあります。
出水の七不思議
当山の「時雨松」「五色椿」は、「出水の七不思議」の1つに数えられています。
「時雨松」は秀吉公お手植えの松で、晴天でも枝から雫を落とし、その様子がしぐれているように見えたことから時雨松と呼ばれるようになりました。すでに枯死しており、現在はその古株が保管されております。境内に時雨松の二世の松が青々と茂っております。
秀吉公愛好の銘木と言われた「五色椿」は、春秋二期の開花時になると、1本の木に異なる五色の花をつけたと言われています。五色椿もすでに枯死しておりますが、境内に植えられたたくさんの椿がその名残を惜しんでいます。



